UNI-SQUARE
北海道の再生可能エネルギーのポテンシャルを引き出した
創業11周年ノースエナジーの過去と未来

世界では脱炭素化に向けた動きが加速しています。日本は、2030年度までに46%削減(2013年度比)、2050年に脱炭素社会の実現を目指しています。そこで3月号のUNI-SQUAREでは、UNIVAグループの中でクリーンエネルギー事業の中枢であり、北海道に根ざした地域貢献企業であるノースエナジーをご紹介します。取材にご協力いただいたマーケティング企画部部長の木谷浩恵さん、この度はありがとうございました!
ノースエナジー 紆余曲折の11年

木谷さん
2025年2月で創立11周年を迎えたノースエナジー(以下、NE)は、元々は通信事業を主軸としていた会社が始めた不動産事業でした。当時、海外パネルメーカーから太陽光発電用の土地の問合せが多数あったことで、自ら事業者として取り組もうと不動産業から独立したのがはじまりです。
NEが誕生する少し前にスタートしたFIT制度がNEの飛躍のきっかけにもなりました。FIT制度とは、再生可能エネルギーの普及を目標に、事業者や個人が再生可能エネルギーで発電した電力を一定の期間一定の価格で電力会社が買い取ることを国が約束した制度です。NEは投資家向けに太陽光発電の企画の提案から建設、メンテナンスまでのパッケージを販売して事業を発展させました。その数、全国で780ヶ所以上の実績を持ちます。設立当初の2014年は電気の買取り価格32円/kWhという世界的にみても高額な価格設定で、お客様に待ってもらい、順番に提供するような状態だったと言います。
しかし年々FIT単価が下がり、投資商品としての販売が難しくなり事業転換を余儀なくされます。2020年10月に政府が「2050年カーボンニュートラル宣言」を出し、新電力会社に対しカーボンフリー電源の比率を上げることを義務化しました。2021年からNEも電気事業者に太陽光発電設備を納品し、その数は130にのぼります。
さらに電力会社に売電をせず、つくった電気を全て施設に引き込み消費をする「自家消費太陽光発電」の販売をしていこうと同時に動き出しました。木谷さんは「自家消費太陽光発電」が注目されている理由についてこう話します。
「電力会社からの購入電力は年々高騰している中、電力は買うより作った方が安いと企業が気付き始めています。また、脱炭素化に向けた企業の取組みは世界中で活発している中で、太陽光発電システムをはじめとした再生可能エネルギーの導入は、企業の事業機会の創出にも繋がります。また、税制もかなり優遇されることから、節税目的で導入する企業も多くいらっしゃいますね」
組織体制を刷新したノースエナジーの今

自家消費太陽光発電事業の需要が高まり、これまで対応していた旧推進部では対応が難しくなったことで組織体制を見直します。NEの新組織と主な仕事を紹介します。
メンテナンス部:太陽光設備をご購入いただいたお客様に対し、1年を通してメンテナンスする部署です。実際に点検をしているのは第二種電気工事士以上の資格を持っている3名です。その他のスタッフは設備の発電量を確認したり、お問合せに対応したり、お客様が経済産業省に出す報告書の作成代行をしています。
事業管理部:太陽光設備を建設の管理をしています。営業担当の提案内容の確認や現地調査、部材の仕入れや関連業社との調整、工程管理をしています。
事業推進部:北海道ガス(株)さんの窓口業務。太陽光発電施設を建設できる土地を探して、提案・調整するのが主な業務です。新規事業の検討もしています。
マーケティング企画部:新規営業や(株)エネコープとPPA事業※を推進するために設立された新部署で以下の3つの部門に分かれています。
企画営業課:自家消費太陽光発電事業の営業が主な仕事です。太陽光発電を導入したい企業に対し、要望を聞き、現地を見て、事業管理課と連携し、どういったプランがいいかを企画して提案しています。
不動産課:NEの設備を建てられる土地を探している部署になります。関連法令を調べるなど、営業サポート課と連携している部署になります。NE代表の小坂さんが立ち上げた肝入りの部署です。
営業サポート課:企画営業課と不動産課のサポートが主な仕事です。
その他人事部と税務経理部で構成されています。
※PPAとは、「Power Purchase Agreement(電力販売契約)」という新しいタイプの電力契約モデルです。企業・自治体が保有する施設の屋根や遊休地を事業者が借り、無償で発電設備を設置し、発電した電気を企業・自治体が施設で使うことで、電気料⾦とCO2排出の削減ができます。設備の所有は第三者(事業者または別の出資者)が持つ形となりますので、資産保有をすることなく再エネ利用が実現できます。昨年、苫小牧市にも提案して市有施設太陽光発電事業をスタートさせました。
2025年ノースエナジーが飛躍するために

新設されたマーケティング企画部の昨年の大きな功績は、2件の補助金と初めての挑戦で見事公共工事のプロポーザルを獲得したことです。2025年は、自家消費太陽光発電の初期導入のハードルを補助金で下げ、差別化を図ることで新規案件を積極的に獲得したい考えです。今後も、公共工事のプロポーザル案件に挑戦する予定です。
また、NEやユニヴァ・ジャパン(以下、UJP)と協業している『垂直型両面ソーラーパネル(以下、垂直ソーラー)』の普及にも大きな期待が寄せられます。UNI-SIGHTのトピックスにも度々登場する垂直ソーラーですが、そもそも垂直ソーラーが生まれたきっかけとこれまでの経緯を木谷さんに伺いました。
「2022年9月にUJPは北海道幌加内町と包括連携協定を締結しましたよね。その後、幌加内町に足を運ぶ中で、幌加内町には太陽光発電がないことを不思議に思った姥谷さんが町長に理由をたずねました。積雪量日本一の幌加内はもちろん、北海道は積雪量が多いので発電効率が悪いのと、重みで壊れてしまうリスクが高いから、というのが太陽光発電がない理由でした。でも、各自治体が脱炭素社会に向け色々取り組んでいる中で、北海道だけ遅れをとってしまうことに懸念をいただいた姥谷さんが、なにか手はないかと調べ、辿り着いたのが、垂直ソーラーだったんです」
その後、太陽光発電の知識が豊富なNEが幌加内町に提案するための企画をつくり、UJPが建設。2023年11月に実証実験を開始し1年が経ちました。真っ白な雪が太陽光を反射して想定以上の発電効果が見られ、発電の敵だと思われた雪が味方となることは話題になり、北海道新聞や専門媒体にも取り上げられ注目を集めています。2025年1月には生協の物流センターに「垂直型両面ソーラーパネル」が納品され、今後のPR効果も期待されます。また、昨年末にセミナーに参加したことがきっかけでニセコ町とも話が進み、2025年1月に納品しています。さらに2025年は酪農家に向けた垂直ソーラーの提案に力を入れる予定です。なぜ酪農家さんにターゲットを絞ったのでしょうか。
「農家じゃないの?と思うかもしれませんが、実は農家さんの設備や農機って、まだ電気ではなくガソリンを使っているんです。でも酪農家さんは、搾乳機や冷蔵/冷凍庫などかなり電気を使うんですね。北海道の場合、土地が広大なので小規模の酪農家さんでも月に30〜40万円の電気代がかかっています。そういった酪農家さんに垂直ソーラーのメリットを伝えることが狙いです。補助金を取得して設備を導入してリースで提案ができれば、酪農家さんは費用の持ち出しがなく、リース料より電気代が削減できれば、かなりメリットを感じてもらえると思っています」
他には、事業推進部が進めている電気事業者に太陽光発電設備を販売する事業も、販売先の開拓を進めています。また、今までは低圧(50キロワット以下)の発電設備を販売していたのですが、今後、高圧・系統用蓄電池まで事業領域を広げ、大きな設備を事業者に販売するための土地を探しています。
「NEはまだまだ成長過程の会社です。プロポーザルの経験、補助金の獲得、北海道の企業様との協業など、一つひとつ実績を積み上げています。社会の変化やお客様のニーズに敏感に対応し、カーボンニュートラルの実現に貢献していきます」
木谷さん、ありがとうございました。2025年もNEからの報告を楽しみに待っています!