UNI-SQUARE
社外取締役からCFOへ
誰も歩んだことのない人生を

2024年最後UNI- SQUAREに登場するのは、UNIVA・Oakホールディングス(以下、UOH)のCFO作田陽介さんです。国際税務のプロフェッショナルとして、20年間UNIVAグループを外から支えた作田さんが、2024年6月25日付でUOHのグループCFOに就任しました。税理士から上場会社のCFOになるという、前代未聞のキャリアを歩む作田さんの新たな挑戦に迫ります!
社外取締役からCFOへ 周りから止められた異色の転身

約20年におよび、UNIVAの組織再編や税務を支えてきた作田さん。自身で創業してから20年間経営をしてきたSTC国際税理士法人(以下、STC)の事業承継をし、この6月にUOHのグループCFOに就任されました。この決断は、作田さんの人生にとっても非常に大きなものだったのでは?
「STCが15周年を迎える少し前から、そろそろ代表をバトンタッチしたいと考え、その準備を進めていました。税理士って単なる資格ですからね。私にとってはSTCがゴールではありませんでした。いつか別のことをしたいと漠然と思っていたんです」
5年かけて事業承継をした作田さん。2年間はダブル代表として新代表をサポートし、3年前に代表を退いた後は、STCの新体制を支えながらもUOHの常勤監査役、常勤監査等委員としてUNIVAグループをサポートしてきました。そして、2023年10月に稲葉会長からCFOの話を提案されたといいます。当時の心境は?
「躊躇なく引き受けました。これまで税理士としてたくさんの経営者を見てきましたが、稲葉さんは間違いなく私がみてきた中で一番優秀な経営者です。稲葉さんが今のように現場で働かれるのもあと10年くらいかなと思ったら、今できる仕事をご一緒したいと思ったんです」
とはいえ、UOHは大変な状況ですよね。
「はい、ご存知の通りUOHグループは6期連続赤字という惨憺たる状況です。他の税理士からは、20年かけて築き上げてきた税理士としての実績を捨てて、そんな大変な会社のCFOになるなんて何を考えているんだ、という声もかなりいただきました。確かに逆流の中にいきなり入ってチャレンジの連続です。CFOは経営執行側であるだけでありません。UOHグループ全体の財務の責任者はもちろん、IRや人事総務等を含めた管理部門のトップですから、立場が大きく変わりました。しかもこの状況ですので、私自身も事業を作ることが求められ、今まで経験してきた、会計・税務業務、M&A業務等を通じて収益貢献にも寄与しなければという想いです」
UOHの変化

財務東京チーム
作田さんはUOHをはじめ、子会社の事業にも関わっていますね。
「各事業会社の黒字確保はもちろん、事業を取捨選択して不要な事業や資産は売却することや、儲かるであろう新事業を生み出すことが急務。そのためにも私が全ての数字を把握する必要がありますから、今週の会議は15個以上です(笑)」
UOHグループの財務を安定させることを最優先に、長期的には各種M&Aやファンド運営等により、事業を推進していくことを目指しています。この数ヶ月、UOHではどんな改革をされたのでしょうか?
「いやぁ、想像以上に古い体質で、正直最初はかなりストレスでした(笑)。CFOになる前の監査等委員の時代から動いていますが、総務や経理と協力しながらまずやったのはハンコ文化を一掃したこと。それ以外にも可能な限りの書類を電子化し、ワークフローを変えることでリモートワークを導入しました。最初は、リモートワークに抵抗があった社員も7月頃からリモートワークが増え、少しずつですが定着してきました。フェイストゥフェイスのコミュニケーションも大切ですので、リモートワークをすることが必ずしも良いとは思っていませんが、多様な働き方ができない会社には良い人財は集まってこないと思います」

財務那覇チーム
さらに、UOHグループの財務戦略の一環としてライゾーマの再編があります。ライゾーマは、元々決算や申告業務をバラバラに行なっていたUOHグループのナレッジの共有を目的に、バックオフィス業務を束ねるために設立されました。しかし、うまくいかずに2023年9月で運用休止になりました。
「2023年12月からは、UOH本体を始めとする虎ノ門オフィスにある企業の経理業務+連結決算業務を行う会社になりました。そして私がCFOになるタイミングで、シェアードサービス会社を超えた、財務経理業務のプロフェッショナル集団にしようと考えたんです」
作田さんの思惑通り、現在のライゾーマは財務経理から税務までを網羅しているため、各社の決算から税務申告、連結決算までをワンストップで行えます。お互いのナレッジの共有により、業務の専門性に深みが増したといいます。
「今後、UOHグループに入ってくる会社の財務デューデリジェンス業務や経理部門の上場企業体制への整備にも役立つと思います。実際に、今もスターリング証券との共同プロジェクトや、M&A候補先企業のデューデリジェンス等の活動もしているんです」
黒字化に向けて、UOHのNAKAMAに伝えたいこと

ライゾーマ社員旅行
黒字化に向けて、作田さんのお考えを教えていただけますか?
「既存の子会社を全て黒字化することができれば、全体が黒字化しますよね。そういった基礎的なことが大事だと思っています。同時に、不採算な事業をやめるということを進める必要があります。このふたつをやった上で、他社のM&Aです。小手先の技術では黒字化はできません」
そう話す作田さんは、売上を伸ばすことにこだわり、税理士として20年で培ったネットワークで、事業提携先取引先の紹介を積極的に行なっています。また、株価対策にも新たな動きが。
「これまでは、株主さんに良いことばかり言って、悪いことは言わずにきました。最近の株主さんは情報を自分でつかめるので、良いことや抽象的なことを言っても信じてもらえません。だからこそ、良いことも、悪いことも開示してしっかり説明する。そういったIRの改革にも力をいれています。さらに従業員持株会を強化する動きも11月から始めました。現在(※10月の取材日)、グループ全体で持株会に入っているのはたったの5人なんです。5人ですよ!!いかに社員がグループ全体をみていないかがこの数字でわかりますよね。そこで、11月から1月までの3ヶ月、持株会の奨励金を100%会社が上乗せすることに。つまり、株価が半分以下に落ちなければ損はしません。こういうことがきっかけで興味をもってもらい、グループ全体のことを株価を通じてみていく体制にできればと思っています。それこそが共創につながると思うんです」
作田さんの取り組みによって、UOHの中に共創の意識は強まっていますか?
「正直まだまだです。個人的にはUNIVA CAPITALグループに比べて、UOHグループは内向き思考だと感じています。UOHグループは元々シナジーという概念や共創という文化が全くなかったので、あまり他社に興味がない人が多いんですね。ただ、稲葉さんがCEOになって、『共創』とか『シナジー』を繰り返し伝えているので、少しずつ変化は起きています。フュージョンやジャイロンが入ったことで、グループ全体が若返りしましたし、実際に共創の事案も増えてきました」
最後に、UOHのみなさんへのメッセージをお願いすると「いっぱいありすぎて」と言葉を詰まらせた作田さん。しばらく考えて、ゆっくりと口を開いてこう語りました。
「赤字が続いているせいもあり、みんな、勝者のメタリティが圧倒的に足りていない。絶対に売り上げをつくる!とか。絶対に黒字にする!といった想いの部分ですね。そこを変えていきたいです。伸びている企業、成長している企業は、この勝者のメンタリティを持っている人が多いんです。ひとり一人が強いメンタリティを持って積極的に動く。そういう企業を目指します。そのためには、多少ハレーションが起きても良いと思っています。私たち役員はそういったトレーニングの場や機会をつくらないといけませんよね」
税理士が上場企業のCFOになるという前例のない、異色のキャリアを歩み続ける作田さん。
黒字化に向け、共創に向け、強い企業に向け、作田さんの挑戦は始まったばかりです。
作田さん、この度はありがとうございました。
UOHグループではないのですが、今回の記事を拝読し
”各人が勝者精神もって、積極的に動く”非常に響きました。
襟を正して、経営努めてまります。